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鬼に喰われた女 今昔千年物語 (集英社文庫)

価格: ¥450
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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さらりと読めます ★★★★☆
今昔物語から選んだという10の短編です。タイトルが「鬼に喰われた女」であるように、現代社会とは違う、ほの暗さを含んだ物語集です。鬼に、男に、社会に自分ではどうすることもできない大きな力の中に翻弄されているようでいて、時ににやりと笑ってみせるしたたかさを持っている、そんな女たちを、作者はさらりと読める程度の長さで淡々と描いています。ちょっと日常を離れた作品を読みたいときに是非どうぞ。
表題作「鬼に喰われた女」はどうなる? ★★★★★
 冒頭に鬼の出て来そうな場面設定がある。荒れ果てた源融の邸宅河原院。融が死後、その邸宅を藤原氏に献ぜざるをえなくなって幽霊になって出るという能「融」があることを思い出すことができれば、更に情感は深まるかもしれない。
 登場するのは東国出身の若い夫婦とお伴である。そこに宿泊させてもらった数日後、妻が奥の間で巨大な鬼に捕まってなぶりものにあってしまうが、すぐに助けられない。斧で戸を壊して中に入った時、妻は失神していた。息を吹き返したものの、妻は鬼になってしまっていた。半狂乱になった男は、虚けたように外に出て姿が見えなくなった。女はどうなったか分からない。
サブタイトルで銘打っているように「今昔物語」に題材を得ているようだが、芥川龍之介の「藪の中」のような新解釈が浮かんでこない。強いて言えば、鬼に犯されて鬼になってしまったという、シンプルなことだが深刻なテーマを淡々と行為中心に描いて、それが現代的とみなすべきか。「鬼なる男に喰われれば、女は…」と考えさせられる。
 行為の理由など詮索するゆとりもなく、世の中の男と女の風景は「今昔」に変わらず「千年」を閲していると、著者は言いたいとみる。

今昔物語+女性=坂東眞砂子 ★★★★★
今昔物語+女性=坂東眞砂子という図式が、ピッタリと嵌った10編の珠玉の短編集です。
怨霊や物の怪に怯えている平安の世界をバックに、女の性、情念(執念と言った方が近いかも知れない)を見事に描ききっています。
特に気に入った作品は、「生霊」「蛇神祀り」「油壺の話」です。作者らしい女性の性の捉え方と、禍々しさが同居した作品です。しかし、それでいて最後に、その女性たちへの哀れさが感じられます。
坂東眞砂子らしさの良く出た素敵な作品集です。