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図説 日本妖怪大鑑 (講談社プラスアルファ文庫)

価格: ¥880
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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図鑑としては× ★★★☆☆
 読み物としてはともかく、これを妖怪の図鑑と捉えるなら正直不合格だろう。前著「妖怪大全」の時からそうであったが、著者は「妖怪だろうが幽霊だろうが神様だろうが、とにかく超自然のものは何でもOK」という、実にあいまいかつ都合のいい持論に基づいて妖怪の選別を行っており、本来妖怪としてくくるべきでないと思われるものもかなりの量扱っている。その結果「耳なし芳一」「菅原道真」「丑の時参り」「恐山」といった「これを妖怪に分類するのは無理があるだろう」といったものまで入れていたり、しまいには自分で創作したと思われる「新ぬりかべ」「新ぬらりひょん」などという、著者以外に誰がそんなものを認めているのかといったわけのわからないものまで「現代の妖怪」として紹介している。これをもって妖怪辞典の決定版とするにはあまりにも無理があるし、妖怪を知らない人が入門編としてこれを読んだら、無用な誤解や混乱を招きかねない。ただし、あくまで著者自身の個人的な見解を示したものだという前提で捉えるのであれば、これはこれで読み物としては充実したものだとも考えられる。読み手がこの本に対し何を求めるか、どう位置づけるかによって評価が異なってくると思われるが、図鑑・辞典として捉えた場合は客観的な視点や充分な説明に欠け、成立しているとは言いがたい。