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心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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ほろ苦いというより、かなり苦い ★★★★☆
表題作「心とろかすような」
映像で想像すると、ラストはかなり笑えるのですが
この美少女はこれからどんな人生をあゆむのかな?と暗い気持ちになっちゃいます。
宮部作品は、割と少女に対して冷たい印象を受けますが
糸ちゃんにたいする父親及びマサの暖かい気持ちが根底に流れていて
そこですこしホッとさせられます。
おなじみの面々との再会が嬉しい。 ★★★★☆
連作短編集ということもあって、前作「パーフェクトブルー」より
軽妙なタッチで軽く読める作品。
前作と変わらず、マサと加代ちゃん、糸ちゃんが活躍していて
懐かしい気持ちで登場人物たちと再会できます。
彼らの関係が相変わらず暖かく描かれていて、その暖かさが
「家族」のあるべき姿を押し付けがましくなく提示してくれているように感じました。

だからこそ、表題作「心とろかすような」の薄気味悪さ、後味の悪さは格別。
短い作品にもかかわらず、心に苦味がずしりと来ます。
宮部みゆきの原型 ★★☆☆☆
『パーフェクトブルー』をすっかり忘れているので、元警察犬マサと蓮見探偵事務所もさっぱり忘れていた。

なので単なる犬の一人称の短編集だったのだが、宮部みゆきには珍しくたどたどしい話の運びのような印象だ。10年ほど昔の作品が中心なので、やはり修練が足りない作品集と言うことか。もちろん、それでも十分読み応えはありますが。

ただ『マサ、留守番する』は書き下ろしと言うだけあって、ストーリーテリングの上手さは群を抜いている。テーマも少年犯罪・動物虐待・動物惨殺・家庭不和と今現実あるものだ。それもかなり胸が苦しくなるような現実で、示唆に富んでいる。宮部みゆきの作品はいつだって、説教臭くない程度に教えを含んでいる。この人の作品を読んだらグレないだろうって思うくらい、教育指定図書の匂いがするんだ。

だが、この短編集の中、最新作の書き下ろし作品で初めてそれを感じた。やはり作風ってのは作られて行くものなのね。
心とろかすような ★★★★★
 最後に、俺はどうしても知りたいことがある。
「新人類」の俳優さんたちは、白鳥家に乗りこんだとき、彼等がテーブルに現金を広げて数えていたと話していた。大方、強請で儲けた金の帳簿でもつけていたのだろう。
 俺は知りたい。その時、みずえちゃんも札を数えていたのかどうか。そして彼女が、はたして、指をなめながら数えていたのかどうか。
 賭けてもいい。きっとそうしていたはずだ。
 誰か教えてはくれないだろうか。いや、気の滅入る話ではあるけれど、興味があるじゃないか。
 ねえ?
待ち遠しかったシリーズ2作目 ★★★★☆
デビュー長編『パーフェクト・ブルー』に続く、蓮見探偵事務所の面々とそこで飼われている元警察犬マサのシリーズ2冊目。短編5編を収録。待ち遠しかったです。
このシリーズ、語り手はマサ。犬の目線で事件が語られます。人間顔負けの人情味(犬情味?)を持っているマサ、時には誰かが跡をつけてきているのに気付いて唸り声をあげて知らせたり、時には事件の手がかりに気付いているのに飼い主に伝えられずにもどかしがったりと、奮闘ぶりが楽しい。
もちろん、犬の目線で書くといった趣向に頼りきってばかりではなく、収録作のどれもミステリとして練り込まれていて、待たされた甲斐があった1冊です。でも、シリーズ次作はもっと早く読みたいな。